「越前かに」の名付け親、知名度向上に貢献
壁下誠
トップページ > ニュース > 越前がに資源詳細把握へ ドローン全速前進 保護礁周辺潜って撮影 福井県など全国初実証
越前がにの資源量の詳細な把握に向け、福井県などは9月27日、全国初となる自律型水中ドローンを使った調査の実証実験を始めた。従来の手法に比べ精度や効率が向上し、これまで難しかった保護礁周辺も詳しく調べられるという。結果を踏まえ、県は来年度以降の本格的な活用を検討し、より効果的な資源増大策などにつなげる。
実証実験は、福井県のほか、水中ドローンを運用する建設環境コンサルタント「いであ」(東京都)などが国土交通省の補助事業として計画した。
使用する水中ドローン「YOUZAN」は、同社が東京大生産技術研究所などから技術移転を受けて開発し、昨年から本格運用している。長さ1.3メートル、高さ0.77メートル、幅0.7メートルで、重さ275キロ。プログラムに沿って自動で障害物を避けながら目的地に向かい、高精細な4Kカメラなどで海底を撮影する。既に海洋ごみや生態系の調査で実績があるという。
初日は、敦賀港に着岸した県の調査船「福井丸」から水中ドローンを海に入れ、動作を確認した。28日から4回にわたり、越前岬の沖合約15キロの地点に設置された保護礁周辺の資源量を調べる。県が昨年度から保護礁で進めている海底の土を掘り起こし栄養分を循環させる「海底耕耘(こううん)」の効果も検証する。
県によると、福井県沖に7カ所ある保護礁は、1カ所につきコンクリートブロックが200~300基沈めてあり、底引き網での捕獲や船で水中カメラを引く従来の方法では調査が難しかった。
実証実験で得られた画像データなどを基に、個体数や大きさ、性別を解析する。来年3月までに漁師向けの報告会を開くほか、県外の産地とも情報を共有する予定。県水産試験場海洋研究部長は「これまで実態が把握できなかった保護礁の状況が分かる。今回の実験を越前がにを増やす方策につなげたい」と話していた。