競り落とすには度胸が必要
中橋睦男
トップページ > ニュース > 荒海から王者次々越前がに漁解禁 大型クラゲ姿なし
六日に解禁された越前がに漁。解禁初日に本紙写真映像部の高橋良典カメラマンが福井県越前町の漁船に同行取材した。燃料高騰で厳しい状況に置かれてきた漁業者が、待ちに待ったカニ漁シーズン。漁師たちは荒れる海で、冬の味覚の王者ズワイガニを次々と引き上げていった。
五日午後十時半ごろ、大樟漁港沖から漁船が合図とともに一斉に出漁。乗船した小型底引き網船「第二十三倖周丸」(一四トン)は、冬の海にしては波穏やかで、暖かい風も吹く中を漁場へ向かった。
午後十一時半ごろ最初の漁場に到着するとすぐに網を海に投げ入れた。六日午前零時とともに網上げを開始。越前がに漁の解禁だ。
初回の網にはカニの姿はまばら。中野良一船長(46)は「いやー今回はカニが少ないのー。漁場をちょっと間違えるとこんなもんや」と、次の漁場へ船を向ける。
海は一転して大荒れ。航行中に何度も「ドーン」と波がぶつかり衝撃が走る。船が左右に揺さぶられ、立っているのも困難な状態だ。
そんな中でも漁師たちは平然と船のへりを歩き回る。網を入れて約一時間後、引き上げた網には待望の雄のズワイや雌のセイコの姿があった。今年は”天敵”の大型クラゲ(エチゼンクラゲ)の姿は一匹もない。「去年は良かった。今年も豊漁になれば」と願っていた。 昼すぎに帰港しカニを陸揚げすると、早々に港を後にして次の漁へと出て行った。