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納谷一也
トップページ > ニュース > 2000年7月 > ズワイガニの漁業管理研究で栄誉 東村・県立大准教授が学会賞
漁業経済学を専門とする福井県立大海洋生物資源学部(小浜キャンパス)の東村玲子准教授(41)が、研究成果をまとめた本「ズワイガニの漁業管理と世界市場」を出版。5月下旬に東京で行われた第60回漁業経済学会で最高賞の学会賞を受賞した。
東村准教授は2002年から、ズワイガニに限定した世界各国の漁業管理や流通について研究している。京都大法学部在学中に南極海を訪問したのがきっかけで海への憧れを強くし、水産関係の学問を志した。県立大には03年に着任。現在は、県の福井海区漁業調整委員や国の水産政策審議会委員などを務めている。
本は、カナダ大西洋岸のニューファンドランド島に約10年間通い調査したことや、文献調査、地元福井の漁業関係者の話などをまとめ10章で構成した。ズワイガニの甲羅を外し、足を根元で切断してボイルし冷凍する「セクション」と呼ばれる日本発祥の加工技術が、ズワイガニの世界市場の基盤をつくったことなどを解説している。
また、ズワイガニの資源確保のため、国などが年間水揚げ量を指定する総漁獲可能量(TAC)での管理や、漁業者にあらかじめ個別に漁獲量を割り当てる管理方法(IQ)などの課題を指摘している。
東村准教授は「漁業管理のルールを決める際は、地域の漁業の実態はもちろん、漁業の位置付け、水産加工業との関係を考えるべき」と話す。学会賞受賞については「たくさんの人の協力で受賞でき、皆さんに感謝したい。今後は、研究を進めている越前がにについて深く探究していきたい」と話していた。
A5判、262ページ。成山堂書店から発行。3400円。問い合わせ、購入の申し込みは東村准教授=☎0770(52)6300。