「越前がには日本で一番おいしいカニ」
田村幸一郎
トップページ > 食べる > 日本料理越前がに専門店 やなぎ町
福井一の繁華街・通称「片町」の目抜き通りから一歩抜け出したところにひっそりとたたずむ日本料理と懐石の店「やなぎ町」。新鮮な地元の山海の幸を使い、日本料理の伝統と現代の技を調和させた斬新かつ繊細な料理の数々を提供する。カニシーズンには、越前がにを求め全国各地からやってくる舌の肥えた食通たちがこの店の門をたたく。
「うちのウリは越前がにを知り尽くした料理長がいること」と語るのは専務取締役の柳町剛弘さん。創業以来48年間、福井にカニを求めにくるお客様をもてなすため「カニをどう裁いたらおいしくなるか、どういうカニが中身が詰まっているか」を料理長をはじめとしてスタッフ全員で追求し、研鑽を重ねてきた。カニの季節になるとなじみの魚屋と毎日カニの話ばかりするほどカニへの思い入れが深く、自らがカニを選んで仕入れ、そしてさばいている。また「越前町で水揚げされた正真正銘の越前がに使用店」にも認定されている。
やなぎ町の越前がには、水揚げしてすぐに大釜で大量に茹でる「浜茹で」ではなく、下処理をした上で店舗で1杯ずつ丁寧に湯がいている。浜茹でだと、大量に茹でるのでコストをかけずに調理できるが、どうしても、茹で加減にバラつきが出来て味が安定しない、茹でてからお客様に提供するまでに時間がかかり、劣化する。極上の越前がにを福井県越前漁港でセリ落として、その日のうちに活きたカニを店に運び、臭みや雑味の原因になる泥を吐かせるために一旦水槽に入れる。そして、カニを一杯ずつ茹で、茹で汁の塩分濃度、茹でる温度を調整しながら、かに本来の旨味を最大限に引き出している。
ゆでガニは、カニの姿をお客様に楽しんでもらえるよう、カニの姿をほぼ残しながらも、食べやすい状態で食べてもらうためにカニの足などに「隠し包丁」で切り込みを入れる。剛弘さんによると「少しの包丁の入れ方で食べやすくなったり、カニの身が取れやすくなったりする」そうだ。また、女将や中居がカニの食べ方も丁寧に説明。カニを食べているときに手の汚れが気にならないよう「とにかくおしぼりを変える」ことを徹底するという。「せっかく日本で一番美味しいカニを食べて頂くので、初めての人にも気持ち良く食べていただきたい」と常にお客様のことを考えながらきめ細かいおもてなしをするのが信条だ。接客、もてなしに惚れ込んで毎年足を運ぶ“ファン”もいるという。
食べながらカニのいろんな話を楽しめるのもやなぎ町の特長。女将は献上がにで有名な坂井市三国町出身、剛弘さんは福井商工会議所の「越前がに検定」の第一号合格者であるなどスタッフ全員がカニの“プロ”だ。「越前がにの一番の天敵は何だと思いますか? それは人間です」といった具合にうんちくを披露しながら、食事の席を盛り上げる。
ゆで、焼き、刺し、雑炊といった定番が並ぶカニのフルコースは絶品。越前焼の器に盛り、福井の草花を飾り付けるなど演出にもこだわる。常連に人気なのがオリジナルメニューの「甲羅酒」。ズワイガニの甲羅に残ったカニみそに、地酒の日本酒を注ぐというもの。カニみそと酒の風味が絶妙に絡み合い、豊かな香りを紡ぎ出す。
多くのカニ料理店は事前の予約が必要だが、剛弘さんは「当日のご連絡でもご用意できます。お客様のニーズに合わせ、幅広い対応をさせていただきます」と胸を張る。同店では長年の信頼関係で結ばれた魚屋、漁師などいろんなツテを頼って何とかしてカニを仕入れるためだ。「日本で一番のカニなので、すみずみまで味わってほしい。ただおいしいカニがあるお店ではなく、豊富なカニの知識があって、食べ方もお教えできることでお客様は安心する」やなぎ町は日本料理の技とおもてなしの心を磨き続ける。
所在地 |
〒910-0023 福井県福井市順化2-12-12 |
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TEL | 0776-21-3087 |
FAX | 0776-21-1855 |
駐車場 | 無し |
アクセス | JR福井駅から徒歩10分 車でお越しの際は近隣のコインパーキングにお停めください。 |
営業 | 定休日:日曜日(ご予約のある場合は営業いたします) |