競り落とすには度胸が必要
中橋睦男
真っ青の日本海。真っ赤な夕焼け。刻々と移ろいゆく情景を眺めながら、ゆったりと過ごせる。
越前港で水揚げされた海の幸と、豊かな自然の中で育まれた山の幸。一つひとつ丁寧に仕上げられた料理に出合える宿。
2021年11月にリニューアルオープンした海と夕日と蟹の宿「越前厨(くりや)温泉 あらき」。限定6室の越前海岸に佇む1軒宿。低床ベッドやハンモック、マッサージチェア、家具照明など6室全て異なる仕様で設えたこだわり空間。全室オーシャンビューの上、ベッドに横たわりながら日本海を一望できる。水平線に沈む真っ赤な夕日は感動的だ。常に変化する夕日と海に同じ景色はないだろう。
食事は館内2階にある「お食事処 あら季」でいただく。この道40年以上の大将が目利きして仕入れた越前ガニを使った越前蟹のフルコース。
あら季で出す蟹は、全て1kg以上で黄色いタグ付きの越前蟹。1人1杯(2名~)越前蟹が付くコースは、1杯は茹で蟹、1杯は生の蟹を好きな方法で調理してくれる。
事前に相談すれば、2杯とも茹で蟹もしくは2杯とも生の蟹など、希望に沿った調理も可能。味付けや茹で時間にこだわる大将が茹でた越前蟹は塩加減が抜群。茹で蟹は食事の時間に合わせて茹でるため、アツアツで食べることができる。また、板場の方が食べやすいよう捌いてくれるのも嬉しい。
「刺し、焼き、しゃぶしゃぶは生の蟹を一度お客様に見てもらった後、オープンキッチンで調理いたします。」鮮度抜群の越前蟹を目の前で捌いてもらえるのはオープンキッチンならではのパフォーマンスだ。
焼き蟹も板場の方が目の前で焼いてくれる。しゃぶしゃぶも蟹の足を1本ずつ目の前でしゃぶしゃぶし、すぐに食べることができる。これは「せっかく越前蟹を食べていただくなら、全て一番美味しい状態で召し上がっていただきたい」というあら季のこだわりである。
冬にしか味わえない、あら季でしか味わえない蟹尽くし。アツアツの茹で蟹、香ばしい焼き蟹、花を咲かせた蟹刺し、出汁の効いたしゃぶしゃぶを五感で楽しめる宿だ。