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長年の経験と技術でカニの居場所探る

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中野良一

漁師

 「どれくらい取れるのかは運試し。解禁日は楽しみでもあり苦労でもある」。そう語るのは漁師になって30年の中野良一さん。消費者だけでなく漁師にとっても待ちに待った解禁日。どれくらいカニを獲れるかも大事だが、それ以上に「無事に航海を済ませたい」という思いが強い。初日で事故が起こらないよう解禁に向け船の手入れを怠らない。「船や業務のトラブルも、乗組員のけがもなく、みんなと行ってみんなで帰ってこれればある程度の漁ができる」

 越前がにの解禁は11月6日。前日の午後10時ごろ一斉に出漁し、夕方の市に合わせて戻ってくる。漁場は沖合約20マイル(30キロ)ほどの海域で、約2時間で着く。「雌のセイコとるか、雄のズワイをとるかで、網を入れる場所は変わってくる。セイコなら浅いところ、ズワイなら少し深いところを狙う」という。カニを獲る底引き網漁は、1行程約2時間半ほどで、網を入れた後、1時間半引っ張り、1時間で引き上げる。基本的には追い風になる方向に網を引き、風がなかったら潮の流れに沿う。

 解禁日は多くの漁師がセイコガニを狙う。セイコガニは集団で生活しており、一度の網入れで大量の捕獲が期待できるからだ。獲れる場所は毎年だいたい決まっており、各漁船もそのポイントに集中する。「セイコガニは水深が10m違うと一匹もいない。朝までにたくさんカニを獲れる船もあれば、そうでない船もある」。その日のうちに帰港した方がカニの値段も高くなるが、あまり獲れなければ沖で停泊することもあるという。

 「カニと一緒に網に入った魚の種類で、きょうは浅いところにいるな、深いとこにいるな、というのも分かる」と言うが、30年のキャリアを持ってしてもカニの獲れるところを探すのは難しい。レーダーを駆使しカニが生息しているであろう水深を把握しても、カニは泥の中にいるため、網を入れてみないと分からない。「毎回が手探り」だ。「カニ漁は根気のいる作業。『ここで獲れた』と聞くとすぐにそこに行ってしまう漁師もいるが、自分は網のおもりなど仕掛けを変えたり、ポイントを少しずらしたりしてカニを探す」と長年積み重ねてきた経験と技術でカニの居場所を探し当てる。

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